配偶者居住権②
鹿児島市の行政書士安田事務所です。
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配偶者居住権の効力(新1031条以下)
①登記請求権と第三者対抗要件(新1031条1項)
居住建物所有者は、配偶者に対して、配偶者居住権設定登記を備えさせる義務がある。
○配偶者=居住建物の所有者に対して、配偶者居住権設定登記の登記請求権が認められている。
○配偶者居住権登記により、第三者に対する対抗力を持つ。
②妨害停止・妨害排除請求権(新1031条2項後段による605条の4の準用)
○居住権登記・・・居住建物の占有が妨害されている場合、配偶者は妨害停止請求が可能。
第三者が居住建物を占有している場合、配偶者は居住建物の返還請求が可能となる。
③配偶者の用法遵守義務・善管注意義務(新1032条1項)
○配偶者は、従前の用法に従い、善管注意義務をもって、居住建物を使用収益する義務を負う。
義務違反をした場合、居住建物所有者は、配偶者への意思表示により、居住権を消滅させる
ことが可能となる(新1032条4項)。
④配偶者居住権の譲渡禁止(新1032条2項)
⑤居住建物の改築・増築・第三者の使用収益について(新1032条3項)
○居住建物の所有者の承諾を得ることが必要。
⑥居住建物の修繕について(新1033条)
○配偶者は、居住建物の使用収益に必要な修繕が可能(同条1項)
⑦居住建物の費用負担について(新1034条)
○配偶者は居住建物の通常の必要費を負担する(同条1項)
通常の必要費以外の費用(特別の費用)については、583条2項を準用する(同条2項)
○居住建物の所有者が特別の費用や有益費を負担する。
配偶者居住権の消滅(新1036条等)
①配偶者居住権の期間満了(○新1030条の特別の定め:新1036条による597条1項の準用)
②配偶者居住権を認められた配偶者の死亡(新1036条による597条3項準用)
③配偶者居住権の認められた居住建物の全部消滅、その他の理由による使用収益の不能。
(新1036条による616条準用)
④居住建物の用法遵守義務・善管注意義務違反(新1032条4項)
居住権消滅の効果(新1035条)
①配偶者の居住建物返還義務(新1035条1項)
○例外:配偶者が居住建物について共有持分を有する場合(同条ただし書)
②配偶者の原状回復義務等(新1035条2項)
○例外:居住建物から分離不可能な物・分離に過分の費用を要する物(599条1項2号準用)
配偶者の責めに帰することができない居住建物の損傷(621条準用)
配偶者居住権の評価について
○基本的には当事者間での合意による。
「配偶者居住権・簡易評価方法」
配偶者居住権の価格=①建物敷地の価格(固定資産税評価額)-②配偶者居住権負担付所有権
の評価
①について:評価方法については、固定資産評価額が広く利用されているため、これをベース
として考える。
②について:建物の耐用年数・築年数・法定利率等を考慮して、配偶者居住権の負担が消滅
した時点の価値を算定。そのうえで、現在価値に引き直す。