配偶者居住権
鹿児島市の行政書士安田事務所です。
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相続法改正
1、配偶者居住権(長期的な居住権保護)
①配偶者が相続開始時に居住していた被相続人(他方配偶者)所有の建物を対象に、遺産
分割、被相続人の遺言等によって、終身または一定期間、配偶者に同建物の使用を認める。
②配偶者短期居住権
配偶者が相続開始時に被相続人(他方配偶者)の建物(居住建物)に無償で住んでいた
場合に、配偶者は、一定期間、同建物を無償で使用する権利を取得する。
⑴配偶者居住権の導入メリット
「現行法」配偶者が居住建物を取得する場合、預貯金等の他の財産を受け取れなくなる。
例)被相続人A=配偶者B・子C。遺産は5000万円(自宅2000万円+預貯金3000万円)
BC:2500万円・・・Bが取得した場合には預貯金は500万円のみ取得する。
「改正法」配偶者がこれまで住んでいた自宅での居住を継続しつつ、他の財産を取得する
ことができるようになる。
例)配偶者居住権1000万円と評価された場合は、自宅=負担付所有権1000万円
Bは配偶者居住権1000万円+預貯金1500万円、Cは負担付き所有権1000万円+預貯金
1500万円を取得することになる。
配偶者居住権の取得要件
①被相続人の財産に属した建物に、被相続人の配偶者が、相続開始時に居住していたこと
(新1028条1項本文)
②居住建物につき、相続開始時に配偶者以外の者と共有していないこと(新1028条1項
ただし書)。
③Ⅰ)、Ⅱ)又はⅢ)に該当すること。
Ⅰ)遺産分割で配偶者居住権を取得するとされた場合(新1028条1項1号)
Ⅱ)配偶者居住権が遺贈の目的とされた場合(新1028条1項2号)
Ⅲ)配偶者に配偶者居住権を取得させる旨の死因贈与がある場合(554条が遺贈規定を
準用)
「審判による配偶者居住権の取得」(新1029条)
遺産分割請求を受けた家裁の審判によっても、配偶者居住権が認められる。
①共同相続人間で合意が成立している場合
②①以外の場合で、Ⅰ)生存配偶者が配偶者居住権取得を希望する旨の申出をし、
Ⅱ)居住建物の所有者が受ける不利益の程度を考慮しても、なお配偶者
の生活維持のために特に必要があると認められる場合。
「配偶者短期居住権の存続期間」(新1030条)
原則=生存配偶者の終身
例外=・遺産分割協議や遺言に特段の定めがある場合・・・当該定めの期間
・家裁が遺産分割審判で別段の定めをした場合・・・当該定めの期間