任意後見契約
鹿児島市の行政書士安田事務所です。
遺言・相続を支援しています。よろしくお願いします。
任意後見契約
任意後見契約とは
一般的に後見とは、保護を要する人の後ろ盾となって補佐することをいいますが、
法律上の後見は、後見人に財産管理やに日常取引の代理等を行ってもらうことに
よって、保護を必要とする人を守る制度をいいます。
法律上の後見には、法定後見と任意後見があります。法定後見は、裁判所の手続
きによって後見人が選ばれ、後見が開始する制度です。例えば、未成年者は通常は、
親権者である親が未成年者に代わって財産管理や取引を行って未成年者を保護して
やるのですが、親がいない場合には、裁判所が後見人を選任して保護します(未成
年後見)。また、成人でも、精神障害等によって判断能力が不十分な人については、
裁判所が後見人を選任して保護します(成年後見)。
これらに対し、保護を必要とする人が、自分の意思(契約)によって後見人を選任す
るのが任意後見の制度です。つまり、法定後見人は判断能力が既に失われたか又は
不十分な状態であるため、自分で後見人等を選ぶことが困難な場合には、裁判所が後見人
を選ぶ制度であるのに対し任意後見人は、まだ判断能力がある程度(後見の意味が
分かる程度)ある人が、自分で後見人を選ぶ制度なのです。
任意後見契約とは、どういうものか
任意後見契約とは、委託契約の一種で、委託者(以下「本人」ともいいます。)が、
受任者に対し、将来認知症などで自分の判断能力が低下した場合に、自分の後見人
になってもらうことを委任する契約です。
人間は年を取ると、次第に物事を判断する能力が衰え、これがひどくなると、認知症
(老人性痴呆、いわゆる「ボケ」)といわれるような状態となることがあります。
誰しも、自分だけはボケないと思いがちですが、我が国の認知症高齢者は、2012年
時点で462万人に達しており、2025年には700万人を突破することが予想されています
から、油断は禁物です。
認知症に罹患して、いわゆるボケてきますと、自分の財産の管理ができなくなり、
いくらお金を持っていても、自分ではお金が使えない状態になります。また、病院等
で医師の治療等を受けようとしても、医師や病院と医療・入院契約を締結することが
できず、治療等を受けられなくなるおそれもあります。そこで、自分の判断能力が低下
した場合に備えて、あらかじめ、自分がそういう状態になったときに、自分に代わって
財産管理や必要な契約締結等をしてもらうことを、自分の信頼できる人に頼んでおけば
すべてその人(「任意後見人」といいます。)にしてもらえるわけで、あなたは安心して
老後を迎えることができることになるわけです。
このように、自分が元気なうちに、自分が信頼できる人を見つけて、その人との間で、
もし自分が老いて判断能力が衰えてきた場合等には、自分に代わって財産管理や必要な
契約締結等をして下さいとお願いしてこれを引き受けてもらう契約が、任意後見契約な
のです。そのため、任意後見契約は将来の老いの不安に備えた「老い支度」ないしは
「老後の安心設計」であるといわれています。