民法改正(債権)賃貸借②
鹿児島市の行政書士安田事務所です。
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賃貸不動産が譲渡された場合のルールの明確化
問題の所在
例えば、家主Aが賃貸中の建物を第三者Cに譲渡したという事例で、賃借人Bは誰に
対して賃料を支払えばよいか、民法には規定がない。
改正の内容
つぎのような判例法理を明文化する。(新605-2Ⅰ・Ⅲ)
○上記の事例で、賃貸人の地位はAからCに移転する。
○もっとも、CがBに対して賃料請求等をするには、Cへの建物の所有権移転登記が
必要(賃借人Bの保護)。
<賃借人の地位の移転の例外(旧所有者への留保)>
・多数の入居者がいる賃貸マンションなどで、投資法人Cが、入居者のいる優良な
賃貸不動産として取得した上で、入居者との間の賃貸管理を引き続き旧所有者(賃貸
人)に行わせるため、1棟ごと旧所有者に賃貸する(入居者は転借人となる)という
実務がある。
・現在はCに賃貸人の地位が移転してしまうため(判例法理)、多数の賃借人との間で
別途合意をする必要あり。・・・同意を得るのが煩雑。もっとも単純に同意不要とする
とAC間賃貸が終了すると入居者はCに対抗できず、退去を余儀なくされかねない。
改正の内容
例外として、ACの合意のみで賃貸人の地位をAに留保できるが、AC間賃貸借が終了した
場合には、BらとCの賃貸借関係に移行する旨を明文化。(新605-2Ⅱ)
賃貸借の存続期間の見直し
現状
○賃貸借の存続期間は、最長20年に制限する。(現604Ⅰ)
○もっとも、借地等については特別法で修正する。
(参考条文)
第604条(賃貸借の存続期間)
賃貸借の存続期間は、20年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めた
ときであっても、その期間は、20年とする。
①借地借家法・・・(存続期間の上限)ア、建物所有目的の土地賃貸借、上限なし(原則
30年以上)。イ、建物賃貸借、上限なし。
②農地法・・・(存続期間の上限)農地・採草放牧地の賃貸借、上限50年。
問題の所在
現代社会においては、20年を超える賃貸借のニーズがある(例:ゴルフ場の敷地である
山林の賃貸借。)
改正法の内容
貸借のの存続期間の上限を50年に伸長する。
(参考)物権である永小作権の存続期間は、上限50年(民法278Ⅰ)。