民法改正(債権)賃貸借①
鹿児島市の行政書士安田事務所です。
遺言・相続を支援しています。よろしくお願いします。
賃貸借の見直し
賃貸借終了時のルールの明確化(①敷金)
問題の所在
○入居時・・・賃借人は賃貸人に対して敷金を差し入れる。
○退去時・・・賃貸人は敷金額から未払債務額(・損害賠償金・未払賃料・現状回復
費用等)を差し引いて返還している。
○賃貸借の終了時における敷金の返還等について、民法に規定がない。
○この問題をめぐる紛争は少なくなく、判例の積み重ねによって紛争解決を図っている。
・・・市民生活に多くみられるトラブルの解決指針となるルールは民法に明記する
べきではないか。
改正の内容(いずれも新622-2)
○敷金の定義(賃貸料債務等を担保する目的で賃借人が賃貸人に交付する金銭で、名目
を問わない。)を明記する。・・・賃貸借にあたっては、敷金のほか、地域によって
「礼金」「権利金」「保証金」等の名目で金銭が差し入れられることがあり、その目的
も様々なものがある。名目にかかわらず、担保目的であれば敷金に該当すると整理する。
○敷金の返還時期(賃貸借が終了して賃貸物の返還を受けたとき等)・返還の範囲(賃貸
等の未払債務を控除した残額)等に関するルールを民法に明記する。
賃貸借終了時のルールの明確化(②原状回復)
問題の所在
○賃貸借の終了時における賃貸物の原状回復の範囲等について、民法には規定がない。
○この問題を巡る紛争は少なくなく、判例等の積み重ねによって紛争解決を図っている。
・・・市民生活に多くみられるトラブルの解決指針となるルールは民法に明記すべき
ではないか。
改正の内容
○賃貸物に損傷が生じた場合には、原則として賃貸人は原状回復の義務を負うが、通常
損耗(賃貸物の通常の使用収益によって生じた損耗)や経年変化についてはその
義務を負わないというルールを民法に明記する。(新621)
通常損耗・経年変化に当たる例
・家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡。
・テレビ、冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ。(いわゆる電気焼け)
・地震で損傷したガラス。
・鍵の取り替え。(損傷、紛失のない場合)
通常損耗・経年変化当たらない例
・引っ越し作業で生じた引っ掻きキズ。
・タバコのヤニ・臭い。
・飼育ペットによる柱等のキズ・臭い。
・日常の不適切な手入れもしくは用法違反による設備等の毀損。