民法改正(債権)売主の瑕疵担保責任
鹿児島市の行政書士安田事務所です。
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売主の瑕疵担保責任に関する見直し
問題の所在 ①(瑕疵担保責任の全般的な見直し)
○買主の権利
商品の種類を問わず、引き渡された商品に欠陥があった場合に買主がどのような救済
を受けることができるのか(修補等の請求をすることができるのか等)について、国民
に分かりやすく合理的なルールを明示するべきではないか。
○「隠れた瑕疵」の用語・・・「隠れた瑕疵」という用語も、その内容に応じて、わかり
やすいものとすべきではないか。
基本的な改正の方向性
○買主の権利
・特定物か不特定物かを区別することなく、売主は売買契約の内容に適合した目的物を
引き渡す義務を負い、修補等の履行の追完をすることができることとするのが適切。
・損害賠償や解除は特別の法定責任とは位置付けず、債務不履行の一般則にしたがって
することができることを明示するのが適切(加えて、損害賠償の範囲は「信頼利益」に
限定されず、要件を満たせば「履行利益」まで可能となる。)
・商品に欠陥がある場合に代金の減額で処理される事案も多いことから、買主に代金減額
請求権を認めるのが適切。
○「隠れた瑕疵」の用語
判例は、「瑕疵」は「契約の内容に適合しないこと」を意味するものと理解、判例の明文化
*「隠れたとは、契約時における瑕疵についての買主の善意無過失をいうと解されている
が、上記改正法の考え方の下では、当事者の合意した契約の内容に適合しているか否かが
問題であるため、「隠れた」の要件は不要。
改正法の内容
○買主の権利(新562~564)
買主は、売主に、①修補や代替物引渡しなどの履行追完の請求、②損害賠償請求、③契約の
解除、④代金減額請求ができることを明記。
「隠れた瑕疵」の用語(新562)
「隠れた瑕疵」があるという要件を、目的物の種類、品質等に関した「契約の内容に適合し
ない」ものに改める。
問題の所在 ②(買主の権利の期間制限)
○瑕疵担保責任の追及は、買主が瑕疵を知ってから1年以内の権利行使が必要(履行済みと
考えている売主の保護)とされているが、買主の負担が重すぎるのではないか。(現570、
566)
*権利行使の意味
判例は、「裁判上の権利行使をする必要はないが、少なくとも売主に対し、具体的に瑕疵
の内容とそれに基づく損害賠償請求をする旨を表明し、請求する損害額の算定の根拠を示す
などして、売主の担保責任を問う意思を明確に告げる必要がある。」としている。
改定の内容
○買主は、契約に適合しないことを知ってから1年以内にその旨の通知が必要。(新566)
*「通知」としては、不適合の種類やおおよその範囲を通知することを想定。
*別途、消滅時効に関する規律の適用があることに注意が必要。