民法改正(債権)約款①
鹿児島市の行政書士安田事務所です。
遺言・相続を支援しています。よろしくお願いします。
約款(提携約款)に関する規定の新設
約款とは、大量の同種取引を迅速・効率的に行う等のために作成された定型的な内容の取引条項
例えば、鉄道やバスの運送約款、電気・ガスの供給約款、保険約款、インターネットサイトの
利用規約など、多様な取引で広範囲に活用されている。
現状
○現代社会においては、大量の取引を迅速に行うため、詳細で画一的な取引条件等を定めた約款
を用いることがう必要不可欠だが、民法には約款に関する規定がない。・・・解釈によって対応
せざるを得ないが、いまだ確立した解釈もないため、法的に不安定。
問題の所在
○民法の原則によれば、契約の当事者は内容を認識しなければ契約に拘束されないが、約款を
用いた取引をする多くの顧客は約款に記載された個別の条項を認識していないのが通常。・・・
どのような場合に個別の条項が契約内容となるのか不明確。
○民法の原則によれば、契約の内容を事後的に変更するには、個別に相手方の承諾を得ることが
必要だが、承諾を得られないこともあり得る。
約款中に「この約款は当社の都合で変更することがあります。」との条項を設ける実務もあるが、
その有効性については見解がわかれている。・・・契約内容の画一性を維持することができない
と、取引の安定性を阻害する。・・・約款に関する規定を新設する。
新設規定の対象となる約款(定型約定)の定義
問題の所在
○「約款」という用語は、現在も企業の契約実務や学界において広く用いられている。
もっとも、その意味についての理解は千差万別・・・約款に関する規定を新設するに当たり、改正
の趣旨を踏まえた定義等が必要。
大量取引が行われるケースにおいて取引の安定等を図る観点から新たなルールを設けるのは、約款
によって画一的な取引をすることが事業者側・顧客側双方にとって合理的であると客観的に評価
することができる場合に限定する必要がある。
改正の内容(新548-2Ⅰ)
対象とする約款(定型約款)の定義
①ある特定の者が不特定多数の者を相手とする取引で、
②内容の全部又は一部が画一的であることが当事者双方にとって合理的なものを「定型取引」と
定義した上、この定型取引において、
③契約内容とすることを目的として、その特定の者により準備された条項の総体
・「定型約款」という名称
従来の様々にあった「約款」概念と切り離して、規律の対象を抽出したことを明らかにするため
の名称。
(該当)鉄道・バスの運送約款、電気・ガスの供給約款、インターネットの利用規約等。
(非該当)一般的な事業者間取引で用いられる一方当事者の準備した契約書のひな型、労働契約
のひな型等。