民法の一部改正(債権)⑥法定利率
鹿児島市の行政書士安田事務所です。
遺言・相続の手続きを支援しています。よろしくお願いします。
民法の一部改正(債権)2020年4月1日施行、法定利率
法定利率
民事:年5%(現404)・・・制定当時の市中金利を前提としたもの
商事:年6%(商法514)・・民法の法定利率が5%であることを前提にしたもの、商行為(営業資金の
借り入れ等)によって生じた債務に適用される。
法定利息の適用場面
①利息を支払う合意はあるが約定利率の定めがない場合の利息の算定・・例:利息付き消費貸借
②約定利率の定めのない金銭債務の遅延損害金の算定・・例:交通事故の損害賠償などの遅延損害金
③逸失利益などの損害賠償の額を定める際の中間利息控除(判例)・・中間利息控除とは、不法行為等に
よる損害賠償において死亡被害者の逸失利益を算定するに当たり、将来得たであろう収入から運用益を
控除することをいう。
問題の所在
○法定利率が市中金利を大きく上回る状態が続いている。・・・利息や遅延損害金の額が著しく多額と
なる一方で、中間利息の控除の場面では不当に賠償額が抑えられるなど、当事者の不平を害する。
○法定利率を固定のものとすると、将来、市中金利と大きく乖離する事態が生じるおそれがある。・・
合理的な変動の仕組みをあらかじめ法律で定めておき、予測可能性を高めることが適切。
○市中金利の短期的・微細な変動に連動して法定利率が変わると、社会的コストが非常に大きい。
○現代社会において、商行為によって生じた債務を特別扱いする合理的理由に乏しい。
改正法の内容
法定利率の引き下げ(新404Ⅱ)・・・施行時に年3%へ
緩やかな変動制の導入(新404Ⅲ~Ⅴ)
・法定利率を市中の金利の変動に合わせて緩やかに上下させる変動制の導入。
・3年ごとに法定利率を見直し。貸出約定平均金利の過去5年の平均値を指標とし、この数値に前回の
変動時に比較して1%以上の変動があった場合にのみ、1%刻みの数値で法定利率が変動(法定利率は
整数となる。)
・商事法定利率の廃止(現商法514の削除)・・・商行為によって生じた債務についても、民法に規定
する法定利率を適用。
中間利息控除とは、交通事故などの不法行為等による損害賠償は、将来の逸失利益(将来取得するはず
であった利益)を含めて事故時から請求可能・・・「中間利息控除」とは、不法行為等による損害賠償
において死亡被害者の逸失利益を算定するに当たり、将来得たであろう収入から運用益を控除すること。
この控除の割合は法定利率(年5%)による(最判平成17年6月14日)
改正法の内容
○中間利息控除についても法定利率(変動制)を適用する(新722Ⅰ)
事故時(損害賠償請求権が生じた時点)の法定利率を適用することも明確化。