民法改正(債権)②意思能力制度の明文化
鹿児島市の行政書士安田事務所です。
遺言・相続の支援をしています。よろしくお願いします。
民法の一部改正、2020年4月1日施行、意思能力制度の明文化について
意思能力制度とは
意思能力を有しない者がした法律行為は無効となること。
意思能力は、行為の結果を判断するに足るだけの精神能力。例えば、認知症を患って行為の結果を判断する
ことができない者は、意思能力を有しない。
○現状
自らが締結した売買契約書の無効を主張して、代金の返還等を求めることができることにより、判断能力が
低下した高齢者等が不利益を被ることを防ぐことが可能。
高齢化社会が進展する中で不当に不利益を被ることを防ぐことが可能。
○類似の制度として、高齢者等の保護を図る成年後見制度がある。成年後見制度の利用のためには、事前に
家庭裁判所の審判を得ていなければならないが、意思能力制度は事前に家庭裁判所の審判を得ていなくとも
利用が可能。
○意思能力を有しなかった者の原状回復義務の範囲は、現に利益を受けている限度にとどまると解されて
いる。
○問題の所在
判例・学説上は、異論なく認められ、実際にも活用されているが、民法に明文の規定はない。
改正の内容
民法を国民一般に分かりやすいものとする観点から、意思能力を有しない者がした法律行為は無効とする
ことを明文化【新3-2】
併せて、意思能力を有しなかった者が相手方にする原状回復義務の範囲は「現に利益を受けている限度」
にとどまる旨の規定を新設【新121-2Ⅲ】