入管手続と申請取次制度の概要⑥
鹿児島市の行政書士安田事務所の安田三三男(やすだみさお)です。
⑺資格外活動の許可(入管法19条)
日本に在留する外国人は、入管法別表第1又は第2に定められた在留資格をもって在留することと
されています。入管法別表第1に定められた在留資格は、就労や留学など日本で行う活動に応じ
て許可されるものであるため、その行うことができる活動は、それぞれの在留資格に応じて定め
られています。したがって、許可された在留資格に応じた活動以外に、収入を伴う事業を運営する
活動又は報酬を受ける活動を行おうとする場合には、あらかじめ資格外活動の許可を受けていなけ
ればなりません。
資格外活動の許可は、証印シール(旅券に貼付)又は資格外活動許可書の交付により受けられま
す。証印シール又は資格外活動許可書には、「新たに許可された活動内容」が記載されますが、
雇用主である企業等の名称、所在地及び業務内容等個別に指定する場合と1週に28時間以内である
こと及び活動場所において風俗営業等が営まれていないことを条件として企業等の名称、所在地
及び業務内容等を指定しない場合(以下、この場合を「包括的許可」という。)があります。
なお、包括的許可の場合は、「新たに許可された活動内容」には、以下のとおり記載されます。
「出入国管理及び難民認定法施行規則第19条第5項第1号に規定する活動」
包括的許可が受けられる場合として、「留学」又は「家族滞在」の在留許可をもって在留する場合
のほか、本邦の大学等を卒業した留学生であって、卒業前から行っている就職活動を継続するた
めの「特定活動」の在留資格を持って在留する者があげられます。
⑻就労資格証明書(入管法第19条の2)
就労資格証明書とは、我が国に在留する外国人からの申請に基づき、その者が行うことができる
収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(以下「就労活動」という。)を法務大臣が
証明する文書です。
外国人を雇用等使用とする者は、その外国人が我が国で就労する資格があるか否かについてあら
かじめ確認したいと思いますし、他方、外国人本人も就職等の手続きをスムーズに行うためには、
自分が就労できる在留資格を有していることを雇用主等に明らかにする手段があれば便利です。
外国人が我が国で合法的に就労できるか否かは、旅券に貼付(又は押印された)上陸許可証印、
中長期在留者については在留カード、特別永住者については特別永住者証明書を確認するほか、
資格外活動の許可を受けていることを確認することによっても判断することができます。
しかし、具体的にどのような活動が認められているかについては、入管法の別表に記載されて
いる各種の在留資格に対応する活動を参照しないと判然としない場合もあります。そこで、入管法
は、雇用主等と外国人の双方の利便を図るため、外国人が希望する場合には、その者が行うことが
できる就労活動を具体的に示した就労資格証明書を交付することができることとし、雇用しようと
する外国人がどのような就労活動を行うことができるのか容易に確認できるようにしました。
ただし、外国人が我が国で就労活動を行うことができるか否かは、在留資格の種類又は資格外
活動許可の有無によって決定されるものであるため、就労資格証明書自体は外国人が就労活動を
行うための許可書ではありませんし、これがなければ外国人が就労活動を行うことができないと
いうものでもありません。
この就労資格証明書を提示しないことにより、雇用の差別等の不利益な扱いをしてはならない
旨が入管法第19条の2第2項に規定されています。