技能実習制度②
鹿児島市の行政書士安田事務所の安田三三男(やすだみさお)です。
3、技能実習の区分と在留資格
技能実習の区分は、企業単独型と団体監理型の受入れ方式ごとに、入国後1年目の技能等を修得する
活動(第1号技能実習)、2・3年目の技能等に習熟するための活動(第2号技能実習)4・5年目の
技能等に熟達する活動(第3号技能実習)の3つに分けられます。
①入国1年目(技能等を修得)
第1号 企業単独型技能実習 (在留資格「技能実習第1号イ」)
第1号 団体監理型技能実習 (在留資格「技能実習第1号ロ」)
②入国2・3年目(技能等に習熟)
第2号 企業単独型技能実習 (在留資格「技能実習第2号イ」)
第2号 団体監理型技能実習 (在留資格「技能実習第2号ロ」)
③入国4・5年目(技能等に熟達)
第3号 企業単独型技能実習 (在留資格「技能実習第3号イ」)
第3号 団体監理型技能実習 (在留資格「技能実習第3号ロ」)
第1号技能実習から第2号技能実習へ、第2号技能実習から第3号技能実習へそれぞれ移行するため
には、技能実習本人が所定の技能評価試験(2号への移行の場合は学科と実技、3号への移行の場合
は実技)に合格していることが必要です。
また、第2号技能実習もしくは第3号技能実習に移行が可能な職種・作業(移行対象職種・作業)は
主務省令で定められています。
4、技能実習生の入国から帰国までの流れ
①第1号技能実習
技能実習計画の認定 → 在留資格認定証明書交付 → 査証取得 → 入国
②第1号技能実習から第2号技能実習
技能検定等評価試験受験合格 → 技能実習計画の認定 → 在留資格の変更許可
③第2号技能実習(2号1年目から2年目へ)
在留期間の更新 → 在留期間満了により出国
④第2号技能実習から第3号技能実習
技能検定等評価試験受験合格 → 技能実習計画の認定 → 在留資格認定証明書交付 → 査証
→ 入国
5、技能実習計画の認定
技能実習を行わせようとする者(実習実施者)は、技能実習計画を作成し、その技能実習計画が適当
である旨の認定を受ける必要があります。技能実習計画の認定は、外国人技能実習機構が行います。
技能実習計画に記載しなければならない事項や申請の際の添付書類は、技能実習法及びその関係
法令で規定されています。
技能実習計画は、技能実習生ごとに、第1号、第2号、第3号のそれぞれの区分に応じて、認定を
受けなければなりません。特に第3号技能実習計画については、実習実施者が、「技能等の修得等を
させる能力につき高い水準を満たすものとして主務省令で定める基準に適合していること」が必要
です。
なお、団体監理型の場合、実習実施者は技能実習計画の作成にあたり、実習監理を受ける監理団体
の指導を受ける必要があります。
実習実施者は、認定を受けた技能実習計画に従って技能実習を行わせなければなりません。仮に
違反があった場合には、改善命令や認定取消しの対象になります。
6、実習実施者の届出
実習実施者は、技能実習を開始した時は、遅滞なく、開始した日その他主務省令で定める事項を
届出なければなりません。この届出は、外国人技能実習機構に行います。
7、監理団体の許可
監理事業を行おうとする者は、外国人技能実習機構へ監理団体の許可申請を行い、主務大臣の許可
を受けなければなりません。監理団体として満たさなければならない要件は、技能実習法令で定めら
れています。
監理団体の許可には、特定監理事業と一般監理事業の2つの区分があります。特定監理事業の許可
を受ければ第1号から第2号まで、一般監理事業の許可を受ければ第1号から第3号までの技能実習に
係る監理業務を行うことができます。
①「特定監理事業」許可監理団体・・・監理対象事業(技能実習1号、技能実習2号)、
許可期間(3年又は5年)
②「一般監理事業」許可監理団体・・・監理対象事業(技能実習1号、技能実習2号、技能実習3号)
許可の有効期間(5年又は7年)
8、養成講習の受講
技能実習法(2017年11月1日施行)では、①監理団体において監理事業を行う事業所ごとに選任
する「監理責任者」、②監理団体が監理事業を適切に運営するために設置する「指定外部役員」又は
「外部監査人」、③実習実施者において技能実習を行わせる事業所ごとに選任する「技能実習責任者」
については、いずれも3年ごとに、主務大臣が適当と認めて告示した講習機関(以下「養成講習機関」)
によって実施される講習(以下「養成講習」)を受講しなければならないと定められています。
また、監理団体の「監理責任者以外の監査を担当する職員」や、実習実施者における「技能実習
指導員」及び「生活指導員」については、養成講習の受講義務ではありませんが、これらの者に対し
3年ごとに養成講習を受講させることが、優良な監理団体又は優良な実習実施者と判断する要件の1つ
となっており、受講が推奨されています。