会社設立(定款認証)⑨
鹿児島市の行政書士安田事務所の安田三三男(やすだみさお)です。
会社設立の定款認証の支援をしています。よろしくお願いします。
会社設立の定款認証
1、株主に対する剰余配当金や残余財産分配請求権
株主は、剰余金の配当を受け取る権利、残余財産の分配を受ける権利及び株主総会におけ
る議決権その他会社法の規定により認められる権利を有しますが、前二者の権利を全部
与えない旨の定款の定めは無効です(会105条2項)。したがって、例えば議決権だけ
を有する株式を発行することはできません。他方、剰余金の配当を受ける権利又は残余
財産の分配を受けとる権利の一方だけしか与えない株式を定款で定めることは可能です。
2、会社法においては、種類株式の内容をより多様化した(会108条)上、株主平等の
原則を、会社は、株主を「その有する株式の内容及び数に応じて」平等に取り扱わなけ
ればならないと規定し(会109条1項)、株式の内容の差異を前提とした平等観念を明確
にしています。のみならず、非公開会社では、剰余金の配当を受ける権利、残余財産の
分配を受ける権利、株主総会の議決権に関する事項について、同一の種類株主を有する
株主についても、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることを許容し(会109
条2項)、非公開会社では、保有する株式数にかかわらず、株主は一人一議決権を持つと
定めることもできます。これらは、非公開会社では、株主の異動が乏しく、株主相互の
関係が緊密であることが通常であることから、かかるとりあつかいを認めるニーズがある
とともに、特段の不都合がないために、認められたものです。
3、株主名簿に関する規定
1、株券不発行会社の株式の譲渡は合意により、株券発行会社の株式の譲渡はそれに加え
て株券の交付によりますが(会128条1項)、いずれの場合にも、その移転は、取得者の
住所、氏名、を株主名簿に記載(記録)になければ、株券発行会社においては会社に、
株券不発行会社においては会社及び第三者に対抗できません(会130条)。また、株式の
移転は、相続、合併などによっても生じます。これらの場合に生ずる株主名簿上の株主名
と真実の株主名との不一致を解消させるために行われるのが株式の名義書換手続きです。
2、株主名簿については、名義書換請求権及びその行使が原則として取得者と名簿上の
株主又はその一般承継人との共同でなされるべきこととされている(会133条)など名義
書換関係の規定が整備されています(会132条ないし34条)。
なお、取得者が単独で名義変更を行うことができる場合については、会社法施行規則
22条に規定されています。
譲渡制限株式の名義変更については、①当該株式の取得について、譲渡者である株主ある
いは株主取得者が譲渡等を受けている場合、②会社が譲渡の承認を拒否した結果、指定
された指定買取人が名義書換の請求をする場合、あるいは、③相続などの一般承継により
取得した場合以外は、名義変更の請求はできない旨定められました(会134条)。
3、また、その閲覧・謄写請求についても、請求者がその権利の確保又は行使に関する
調査以外の目的でする場合等は、拒絶する場合が定められ、いわゆる名簿屋等の請求を
拒絶できるようになりました(会125条3項)。
名簿書換や株主名簿の閲覧・謄写等については、株主取扱規則に定めることも多い。