会社設立(定款認証)⑥
鹿児島市の行政書士安田事務所の安田三三男(やすだみさお)です。
会社設立の定款認証を支援しています。よろしくお願いします。
会社設立(定款認証)
1、設立の際の資本金
①株式会社を設立するには出資が必要ですが(会27条4号、34条1項、63条1項)、出資
額規制は設けられておらず、何人も資本金1円でも株式会社の設立が可能となりました。
2、「設立に際して発行する株式の総数」及び「株式会社が発行することができる株式
の総数」は定款に定める必要があるか
①定款に設立時発行株式総数を記載する必要はないものとし、設立時には、「設立に際
して出資される財産の価額又はその最低額」(設立時出資額)を定めて定款に記載する
こととする(会27条4号)。
②「会社が発行することのできる株式の総数」は、定款作成時に定める必要はなく、会
社成立時(設立登記の時)までに定款を変更して定めればよいとされています(会37条、
98条)。この定款変更については、認証は不要です(会30条)。なお、発行可能株式
総数は登記事項です(会911条3項6号)。
以上のとおり、「設定に際して出資される財産の価額又はその最低額」(設立時出資額)
は公証人の認証を要する原始定款の絶対的記載事項ですが、発行可能株式総数は原始定款
の絶対的記載事項ですが、発行可能株式総数は原始定款に記載がなくとも、認証するこ
とは可能です。発行可能株式総数のその記載がないと会社設立ができないという意味で
では定款の必要的記載事項ですが、設立手続完了時までに定款変更して定めればよいも
ので、その意味では絶対的記載事項ではありません。勿論、原始定款に発行可能株式総数
を定めておくことも可能であり、設立の登記申請までに必要なことを考えれば、その方が
望ましいといえます。
2、設立時発行可能株式総数は、定款の絶対的記載事項ではないが、これを定款で定める
ことは可能です。公開会社(発行する株式の一部でも譲渡制限が付されていない会社)に
ついては発行可能株式総数の4分の1を下ることができないものとされており(会37条3
項)、注意が必要です。なお、定款に定めのある場合を除き、発起人は、
①発起人が割当を受ける設立時発行株式数
②設立時発行株式と引換に払い込む金銭の額
③設立後の会社の資本金・資本準備金の額に関する事項につき、全員の同意で決める
ことができます(会32条1項)。
3、それぞれを定める時期ですが、設立時出資額又はその最低額は、原始定款に規定すべ
きもので、原始定款作成時にさだめる必要があります。
発行可能株式総数は、原始定款に記載してもよく、原始定款に記載しない場合は、設立
手続完了までに発起人全員の同意により定めて定款を変更することがことが必要です(会
37条1項)。募集設立の時は、創立総会で定めて定款を変更することができます(会98条
)。また、原始定款で、発行可能株式総数を定めていても、これらの手続きより、その
定めを変更することもできます(会96条)。