株式会社設立における定款
定款は、会社の根本的な規範であり、書面又は電磁的記録により作成することができます(会社法26)。本店の所在地を管轄する法務局所属の公証人の認証を受けなければ、定款としての効力が生じません(会社法30①)。
定款の記載事項
定款には、①必ず規定しなければならなず、規定していないと定款が無効になる事項(絶対的記載事項)、②規定しなくてもよいが、定款にしていなければ効力が生じない事項(相対的記載事項)、③定款の定めがなくても効力が生じるが、明確にする等の目的で実務上定款に記載される例の多い事項(任意的記載事項)があります。
1、絶対的記載事項
定款に必ず規定しなければならない事項は、次の通りです。
①目的:事業の内容が分かるよう、明確かつ具体的に定める。
②商号:株式会社等の種類に従った文字を使用する。類似商号規制は廃止となったが、同一商号・同一住所の登記はできない。不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある商号は使用してはならない。広く認識されている商号に類似する商号を用いるなどの不正競争行為をした場合は、差止請求や損害賠償請求等を受けることがある。
③本店の所在地:独立の最小行政区画(市町村等)
④設立に際して出資される財産の価値又は最低額:最低資本金の定めはない。
⑤発起人の氏名・名称及び住所
○変態記載事項
変態設立事項は、定款に記載しなければ効力を生じないのみならず、原則として裁判所が選任する検査役の調査を受け、その結果に基づき強制的に定款が変更される場合があります(会社28.33)。
①現物出資:金銭以外の財産の出資。
②財産引き受け:発起人が、会社のため、会社設立後に特定の財産を譲り受けることを約束する契約。
③発起人の報酬・特別利益:発起人が成立後の会社から受ける利益。
④設立費用:設立事務の執行に必要な費用、ただし、定款の認証手数料など、金額に客観性があり、濫用の恐れのないものは記載不要。
2、その他の相対的記載事項
会社の株式を譲渡により取得する場合に当該会社の承認を要することとする場合(会社107②)、相続等の一般承継により株式を取得したものに対し、当該株式を当該会社に売り渡すことを請求することができる場合(会社174)、株券を発行する旨を定める場合(会社214)等、数多くあります。
3、任意的記載事項
実務上定款に規定されえる事項には、株式の名義書換手続、定時株主総会の招集時期、株主総会の議長取締役・監査役の員数、事業年度等があります。